
更地にしてからの売却が良い?現状で取引する場合との違いやメリット・デメリットを解説
老朽化した建物を更地にして売却すべきか、それともそのまま売却すべきかでお悩みではありませんか。不動産の売却方法によって、解体費用や固定資産税、譲渡所得税など、さまざまなメリットとデメリットがあります。本記事では、それぞれの選択肢がもたらす影響や注意点を分かりやすく解説し、失敗しないための判断ポイントをご紹介します。迷いを解消するために、ぜひ最後までお読みください。

更地にすることのメリット
まず、老朽化した建物を取り除くことで、買い手に対して土地そのものの魅力を明確に伝えられ、印象が改善されるという大きな利点があります。建物が残ったままでは、劣化の具合や見た目の不安が買い手に敬遠されることがありますが、更地にすることで購入後すぐに活用可能な状態となり、売却しやすくなる傾向があります。
次に、老朽した家屋を維持・管理するための費用や手間、リスクを削減できる点も見逃せません。具体的には、火災保険料やライフラインの維持にかかる費用、老朽建物の事故リスクなどが挙げられますが、更地にすることでこれらの負担を解消することができます。
さらに、解体を経て更地にすることで、土地活用の幅が格段に広がり、買い手が自由に建築プランを立てやすくなるという点も重要です。たとえば、新築を希望する購入者や住宅ローンを活用したい人にとって、更地の土地は魅力が高く、市場での売れ行きが良くなる傾向があります。
| 内容 | ポイント |
|---|---|
| イメージ改善 | 老朽化した建物を撤去し、清潔な印象に |
| 維持リスク削減 | 火災・倒壊・管理費用からの解放 |
| 活用の自由度向上 | 買い手が自由に建築・活用可能に |
更地にすることのデメリット(解体費用、固定資産税の観点)
更地にする際の主なデメリットは、大きく「解体費用」と「税負担の増加」に分けられます。
まず、解体費用についてです。木造住宅を解体する際の相場は、一般的に1坪あたり約3~5万円、鉄骨造で5~6万円、鉄筋コンクリート造で6~8万円とされています(例:30坪の木造で約90~150万円)。さらに、敷地環境によっては重機が入りにくく手作業が増えるなど、追加費用が発生することもあります。
次に、固定資産税や都市計画税についてですが、建物が存在し「住宅用地の軽減措置」が適用されている場合、課税標準額は1/6や1/3に軽減されています。一方、更地にすると軽減措置が外れて通常の課税となるため、税額は大幅に上昇します(最大で6倍程度になる例もあります)。
これらの要素は売却価格に影響を与える可能性があるため、冷静な判断が必要です。例えば解体にかかる費用と、更地にしたことによる税負担の増加を見据えて、売却価格に上乗せできるかどうかや、早期売却で回収できる見通しがあるかなどを検討する必要があります。
| 項目 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 解体費用 | 木造:1坪あたり約3~5万円、RC等はもっと高額 | 数百万円単位の負担 |
| 固定資産税上昇 | 住宅用地の軽減が外れ、税額が最大6倍に | 年間税負担の大幅増加 |
| 売却価格への影響 | 解体費用や税増加を価格に反映できない場合も | 利益圧迫の可能性 |
古家付きのまま売却するメリットと注意点(固定資産税、譲渡所得税の観点)
古家を残したまま売却する最大のメリットは、解体費用の負担から解放される点にあります。木造住宅の場合、坪単価で約3万~5万円が相場であり、仮に延床面積が40坪あれば160万~200万円の費用がかかるケースもありますが、古家付きのまま売却することで買い手がその負担を引き受けることになり、売主は初期コストを抑えることができます。
また、土地に建物がある状態であれば「住宅用地の軽減税率(特例)」が適用されます。200㎡以下は固定資産税が評価額の1/6、200㎡を超える部分は1/3となり、都市計画税も軽減されるため、売却活動中の税負担を大幅に抑えられます。
さらに、譲渡所得税の計算においては、解体費用を「譲渡費用」の一部として控除することが可能です。取得費・譲渡費用を差し引いた譲渡所得に税率を乗じて計算するため、解体費用を支出した場合にはその分、税負担が軽減される可能性があります。
ただし、譲渡所得税の特別控除(たとえば3000万円控除)は、古家付きのまま売却することで適用期間が延長される点にも注目です。建物を取り壊さず売却すれば、「住まなくなってから3年以内」での売却であれば控除の対象となりますが、解体後に売却しようとすると「建物を壊した日から1年以内」に売買契約を結ばなければ適用できないため、スケジュールには注意が必要です。
| 項目 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 解体費用 | 不要(買主負担) | ですが、建物状態によっては値引き交渉の材料となる可能性 |
| 固定資産税 | 住宅用地の軽減特例が適用可能 | 空き家のまま放置で「特定空き家」に指定されると特例対象外となることも |
| 譲渡所得税 | 解体費用は譲渡費用として控除可能;3000万円控除の適用期間延長 | 適用要件に合致しないと控除を受けられない(所有期間、使用期間など) |
更地化するか、そのまま売却するかの判断ポイントまとめ
ご自身の物件を「更地にして売却すべきか」「古家付きのまま売却すべきか」を判断する際は、まず以下のような比較視点をもって整理することが大切です。
| 比較軸 | 更地 | 古家付き |
|---|---|---|
| 解体費用 | 発生する(数十万~数百万円) | 不要 |
| 固定資産税 | 住宅用地の特例が外れ、税負担が増加 | 特例適用で税負担軽減 |
| 売却スピード・買い手の広がり | 買い手が見つかりやすく比較的売れやすい | 融資利用しやすいがイメージ次第で売れにくいことも |
解体費用の発生と固定資産税の負担増というコストがある一方で、更地は買い主にとって好まれやすく、早期売却につながる場合があります。古家付きのまま売る場合は、解体費用をかけずに済み、固定資産税も抑えられますが、傷んだ建物があると買い手が敬遠し、売却価格が下がる可能性もあります(住宅ローン利用可、税の特例など)。
次に、売却までの期間や管理負担という観点での判断です。古家がある場合、売却までの間は維持・管理(清掃・換気・草刈り等)の手間や費用、さらには「特定空き家」指定による行政指導などのリスクも生じます。一方、更地にすれば、そうした負担から解放され、トラブルリスクを減らせるメリットがあります。
最後に、お客様ご自身の状況に応じた選択肢をご提案いたします。資金に余裕があり、売却を急ぐ場合は更地化を検討する価値があります。反対に、資金的な制約があり、固定資産税も重視する場合は古家付きのまま売却を進めつつ、管理負担や売却価格への影響を踏まえて判断するのがよいでしょう。

まとめ
更地にしてから売却するか、古家付きのまま売却するかは、それぞれに異なるメリットとデメリットがあります。解体によるコストや税金の増加だけでなく、管理の手間や買い手に与える印象も大切な判断材料です。また、譲渡所得税や固定資産税の負担も人によって変わるため、ご自身の資金や売却までの希望期間に合わせて選択することが重要です。状況により最適な方法は異なるため、まずは分かりやすく整理し、自分にとって納得できる売却方法を見極めましょう。