
いわき市のハザードマップはどう見る?洪水や雨水内水津波避難所の確認方法を解説
アパートの契約時に「ハザードマップ」という見慣れない地図を渡され、どこをどう見ればよいのか戸惑った経験はありませんか。特にいわき市では、雨による内水氾濫や洪水、津波など、自然災害のリスクが身近にあります。しかし、ハザードマップの内容や使い方を正しく理解している方は多くありません。本記事では、いわき市で配布されている各種ハザードマップの種類や、その見方、活用方法、備えのポイントまでを分かりやすく解説します。不安や疑問を解消し、安心して暮らすための一歩をともに踏み出しましょう。
いわき市が提供するハザードマップの種類と目的(雨水内水、洪水、津波含む)
いわき市では、豪雨や河川の氾濫、大津波に備えるため、三種類のハザードマップを提供しています。
まず「内水ハザードマップ」は、排水施設の処理能力を超えるような大雨が降った際に、道路や市街地がどの程度浸水するかを示す地図です。平地区や常磐地区、小名浜・鹿島地区など四地区が対象となっており、想定浸水区域や水深が明記され、該当地域の世帯には配布されています。ホームページでも確認が可能です。
次に「河川洪水ハザードマップ」は、水防法に基づき、最大級の大雨により河川が氾濫した場合に、浸水が予想される区域を示す地図です。二級河川11水系・65河川すべてを対象として作成され、色分けで浸水の深さが示され、土砂災害の危険箇所や避難場所も明記されています。該当地域には各戸配布し、市役所や支所にも備え付けられています。
最後に「津波ハザードマップ」は、福島県が指定する津波災害警戒区域をもとに、住民の避難に必要な情報を提供する地図です。巨大地震による津波の浸水想定区域や浸水深(場合によって建物の衝突による高さ上昇も含む基準水位)が示され、避難施設の整備や避難訓練の充実に活用されます。
これら三種類のマップはいずれも、それぞれの災害リスクに応じた「リスク対策」として機能しています。内水マップは速やかな情報共有と避難判断、河川洪水マップは浸水への準備と避難計画、津波マップは安全な避難場所や経路の確保に役立ちます。
以下に三種類のハザードマップを整理した表を示します。
| ハザードマップの種類 | 対象と目的 | 主な情報内容 |
|---|---|---|
| 内水ハザードマップ | 大雨による排水能力超過浸水 | 浸水区域、水深、配布状況 |
| 河川洪水ハザードマップ | 河川が氾濫した場合の浸水予測 | 浸水範囲・深さ、避難場所、土砂災害危険 |
| 津波ハザードマップ | 巨大地震による津波浸水 | 浸水区域・深さ(基準水位)、避難施設、避難計画 |
ハザードマップの基本的な見方-色分け・浸水深・避難所表示の理解
まず、ハザードマップには主に色分けで浸水リスクの深さが示されています。いわき市の河川洪水ハザードマップでは、「千年に一度程度の大雨」によって河川があふれた場合の想定浸水区域が、浸水深ごとに色分けされています。例えば、浅い浸水はライトな色、深い浸水は濃い色で表示されており、一目で危険度を理解できます。また、地図上には土砂災害の危険箇所や指定避難場所も併記されており、避難時にどこを目指すべきかが把握しやすくなっています。
次に、内水(雨水)ハザードマップですが、こちらも同様に浸水区域や水深が色で区分された地図形式で示されています。内水ハザードマップは、大雨により下水道などによる排水が追いつかず浸水が発生する「内水氾濫」を想定しており、例えば1時間あたり120ミリの降雨を条件としたシミュレーション結果で、どの地域がどれくらいの浸水深になるかが示されています。
避難所や津波の到達予測については、地図上で避難所がアイコンやシンボルで明示されているほか、たとえば河川洪水ハザードマップでは避難所の混雑状況を確認できるQRコードも掲載されているものがあります。こうした表示により、避難先の場所や混雑状況を事前に把握できます。
ご自身の住むアパートの位置をハザードマップ上で確認するためには、まず住所や最寄りの地名などを使って地図上で該当地を探します。そのうえで、色分けされた浸水深を確認し、どの程度のリスクがあるかを把握します。さらに、避難所の場所や避難経路がどのように示されているかを確認し、避難時に使える道筋を事前に検討します。下に、見方を整理した表を掲載しますので、参考になさってください。
| 項目 | 確認ポイント | 目的 |
|---|---|---|
| 色分け・浸水深 | 色で示された浸水深(浅→濃)の違い | 自身の住む場所の浸水リスクを把握 |
| 避難所表示 | 地図上の避難所アイコンや混雑情報付きQR | 避難先の位置と混雑状況を確認 |
| 住所との照合 | 自分のアパートの住所と地図の位置合わせ | リスクの程度を具体的に理解し、避難行動を考える |
水防法とハザードマップの関係-なぜ配られているのかを知る
まず、水防法に基づくハザードマップは、国が定めた基準に基づき、市町村などが作成・公表することが義務づけられています。とくに洪水や高潮については、水防法第十四条に基づいた「想定し得る最大規模の降雨」による浸水想定区域を示すもので、法的にも重要な役割を担っています。これにより、住民が災害リスクを正しく理解し、避難行動を検討できるようになっています。
また、不動産の賃貸契約や売買の際には、宅地建物取引業法施行規則の改正により、水防法に基づくハザードマップに関して取引対象物件の所在地について説明することが義務化されています。このため、アパートの契約時にもハザードマップが必ず提示されるのです。たとえば、大阪市や木更津市、小松市など、多くの自治体でこの説明が実施されています。
いわき市においても、令和七年三月に「浸水(内水)ハザードマップ」を新たに公表・配布しています。これは、都市の下水道機能が限界に達した場合に生じる「内水氾濫」について住民に知らせる目的で提供されており、水防法に基づく法改正への対応の一環と考えられます。
アパート契約時に渡されたハザードマップは、法制度に基づく重要な資料です。単なる注意喚起ではなく、災害時にどのように行動すべきか考えるための根拠となります。そのため、内容をしっかり理解し、日ごろから身近なリスクに備える姿勢が大切です。
| ポイント | 内容 | 備えの意義 |
|---|---|---|
| 水防法に基づく作成 | 洪水や高潮のリスクを法的に示す | 信頼性が高く、備えに役立つ |
| 重要事項説明時の提示義務 | 不動産契約時に必ず説明が必要 | 知らずに契約するリスクを防げる |
| いわき市の内水マップ公表(2025年3月) | 新たに内水リスクに対応した地図を配布 | 最新のリスク情報を確認できる |
冊子やPDFでの活用ポイントと避難行動への備え
ハザードマップが冊子やPDF形式で提供されている場合、まずは手元に保存することが大切です。特に、記載された浸水想定区域や避難所の情報は、ご家族と共有し、目立つ場所に保管しておくと安心です。いわき市防災マップには河川洪水や津波の浸水想定、土砂災害警戒区域、避難施設の位置などが地区ごとにまとめられており、ご自宅のリスク把握に役立ちます。日常的に目を通しておくことで、いざという時の判断がしやすくなります。
非常時に備えて確認しておきたいポイントを以下の表にまとめました。
| 項目 | 確認内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 避難施設の場所 | 最寄りの避難所・避難場所・広域避難場所 | 安全な避難先を素早く把握するため |
| 避難ルート | 自宅から避難所までの道筋や津波避難ビル等 | 安全で迅速な移動が可能となるように |
| 浸水・災害リスク | 河川洪水・津波・土砂災害の想定範囲 | 災害発生時の危険度を見極めるため |
避難行動を確実なものにするため、以下の点についても平時から備えておくと安心です。
まず、普段から避難所の場所や避難経路を家族で話し合い、具体的にイメージしておくことが重要です。また、非常持ち出し袋の中身(飲料水、懐中電灯、非常食、常備薬など)を定期的に点検し、準備しておきましょう。さらに、いわき市ではLINEによる避難情報や、市のウェブサイトを通じて避難所開設状況が案内されることもありますので、情報収集手段も確認しておいてください。
もし冊子やPDFのマップで分かりにくい点があれば、ご遠慮なく市の防災担当窓口に問い合わせましょう。担当窓口では、地域の避難所案内や災害リスクに関するご案内を丁寧にしてくださいます。早めの相談が、ご自身とご家族の安心につながります。
まとめ
この記事では、いわき市のハザードマップについて、種類や目的、基本的な見方、水防法との関係、そして実際の活用法までを分かりやすく解説しました。新しくアパートへ入居された方は、ハザードマップを正しく読み取ることが、もしもの時にご自身やご家族の安全を守る第一歩になります。冊子やPDF形式のマップは日頃から目に触れる場所に保管し、避難所や安全な避難経路を確認しておきましょう。不明点があれば、専門の相談窓口を活用することも大切です。ハザードマップを上手に活用し、安心していわき市での暮らしを始めてみてください。