登記の義務は法改正でどう変わった?相続前に知りたい新ルールをご紹介の画像

登記の義務は法改正でどう変わった?相続前に知りたい新ルールをご紹介

不動産相続

坂本 拓也

筆者 坂本 拓也

不動産キャリア15年

お客様ご希望の物件探しを精一杯お手伝いさせていただきます!

不動産を相続する際、「登記の手続きはどうすれば良いのか」と不安や疑問を感じたことはありませんか。近年、相続登記に関する法律が改正され、手続きを怠ることによるリスクが一層高まっています。本記事では、登記義務化の背景や実際の手続き方法、義務を果たさなかった場合の罰則、注意点まで分かりやすく解説します。相続を控えた方や、今後の備えとして知っておきたい方に向けて、安心して手続きを進められる情報をお伝えします。

相続登記義務化の概要と施行時期

改正された不動産登記法により、令和6年(2024年)4月1日から、不動産を相続した場合の登記が義務化されました。これは、相続した土地や建物の名義変更を正当な理由なく怠ると、法務局から催告され、それでも手続きをしなければ、最終的に10万円以下の過料が科される可能性がある制度です 。

また、この義務化には遡及適用の措置も設けられています。2024年4月1日より前に発生した相続についても、未登記であれば同様に対象となり、義務化日以降3年以内、すなわち2027年3月31日までに登記手続きを完了させる必要があります 。

具体的には、相続によって不動産を取得したことを「知った日」から3年以内に登記を申請することが義務付けられています。遺産分割協議を経て取得した場合には、協議成立日から3年以内となります 。

項目義務の開始時期罰則(過料)
2024年4月以降の相続取得を知った日または遺産分割成立日から3年以内10万円以下
2024年4月以前の相続2024年4月1日または取得を知った日から遅い方~3年以内(2027年3月31日まで)10万円以下

この改正の目的は、相続登記が任意だったために発生している「所有者不明土地」問題への対応です。登記がなされていないことで、土地の所有者が不明となり、行政や民間の事業推進を著しく妨げる事態が全国的に発生しているため、義務化と罰則の導入が行われました 。

義務化に関連する新制度と手続きの種類

令和6年(2024年)4月から相続登記が義務化されたのを受け、その負担を軽減し円滑に対応できるよう、関連する新制度が次々と導入されています。まずは「相続人申告登記」という仕組みをご紹介します。正式な相続登記を行う時間がない場合でも、被相続人から相続人であることを法務局に申し出るだけで、義務の履行とみなされます。ただし、これはあくまでも義務を果たすための簡易な手続きであり、不動産の売却や抵当権の設定などの権利処理を進めるには、後日正式な登記が必要です。

次に、令和8年(2026年)2月2日から始まる「所有不動産記録証明制度」です。これは法務局が、登記簿上で特定の人物が所有する全国の不動産を一覧として証明してくれる制度です。相続対象となる不動産が多い場合などに、どの物件について登記が必要かを把握するうえで大変便利です。ただし、登記簿上の氏名・住所と実際のものに不一致があると、一覧に反映されない可能性があるため注意が必要です。

さらに、住所や氏名の変更登記の義務化に備え、令和6年(2024年)4月から導入された「スマート変更登記制度」があります。これは、あらかじめ法務局に氏名、生年月日などを申し出ておくだけで、住所や氏名が変更されたときに法務局が職権で登記を行ってくれる仕組みです。令和8年(2026年)4月から義務化される変更登記を、自ら申請せずとも自動で対応できる便利な制度です。

以下に、これら3つの制度を簡潔に整理しました。

制度名開始時期特徴・利点
相続人申告登記令和6年4月簡易に義務履行可能、正式登記不要でも義務は果たせる
所有不動産記録証明制度令和8年2月所有する不動産の一覧を証明、相続対象の把握に有用
スマート変更登記令和5年4月(受付開始)、義務化は令和8年4月事前申出で変更登記を自動で実施、手続き負担を軽減

相続登記の期限と正当な理由による免除要件

相続登記の義務化に伴い、「相続したことを知ってから3年以内」、もしくは「過去の相続であれば施行日(2024年4月1日)から3年以内、つまり2027年3月31日まで」が、それぞれ登記の期限として定められています。この期限を過ぎ、正当な理由がないままに登記を怠った場合には、法務局から催告を受けたうえで、10万円以下の過料が科されることがあります。これらは、不動産登記法第76条の2および第164条による規定に基づいています。法務省の公式見解によると、相続の開始と不動産の取得を知った日から3年以内が基本の起算点になりますが、施行前の相続に関しては2027年3月末までが猶予期間として設けられています。

正当な理由と認められるケースについては、法務局が個別の事情に応じて判断しますが、具体的には以下のような事情が該当します:
・相続人が極めて多数で、戸籍の収集や相続人の把握に時間を要する場合
・遺言の有効性や遺産の範囲について争いがある場合
・相続人本人が重病などで手続きが困難な場合
・配偶者からの暴力などから避難している被害者など、生命・心身に危険がおよぶ恐れがある場合
・経済的に困窮しており、登記の申請にかかる費用を負担する能力がない場合
こうした事例に該当する場合は、「正当な理由」が認められ、過料が免除されることがあります。

期限内の対応が難しい場合には、「相続人申告登記」が有効な対策となります。これは、「自分が相続人であること」を法務局に届け出る簡易な手続きで、申出を行うことで基本義務(相続を知ってから3年以内の登記)を履行したことになります。ただし、この手続きだけでは遺産分割が成立した後の追加的義務(協議成立から3年以内の正式な登記)を果たしたことにはならない点にはご留意ください。

対象となる相続起算点期限
新たに相続した不動産(2024年4月1日以降)相続及び取得を知った日3年以内
過去に相続した未登記の不動産(施行日前)施行日または取得を知った日のいずれか遅い日2027年3月31日まで
遺産分割成立後の登記協議成立日3年以内(追加義務)

義務化後に注意すべきポイントと対応のすすめ

相続登記の手続きが遅れると、登記簿上に所有者が長期間「未確定」の状態で残りやすくなり、「所有者不明土地」や空き家を増やす一因となります。こうした土地は、不動産取引や災害対応、公共事業での土地利用の妨げとなり、周辺環境や治安、地域の活性化にも悪影響を及ぼす恐れがあります 。

こうしたリスクを避けるためには、できるだけ早期に戸籍謄本等を収集し、相続関係を明らかにする準備を進めることが重要です。取得に時間がかかる戸籍を先に集めておくことで、手続きの遅延を防ぎます。また、不動産が遠隔地にある場合や相続人が多く意思疎通が難しい場合も、準備を前倒しに進めることが効果的です 。

相続登記は義務を果たすだけでなく、自身の権利を明確にする第一歩であり、後のトラブル回避につながります。過料(最長10万円以下)を避けるだけでなく、共有関係の混乱や登記手続きの複雑化を防ぐうえでも、登記の実施は極めて重要です 。

注意すべきポイント対応の進め方目的
所有者不明土地化のリスク早期に戸籍収集・相続関係の整理混乱を防ぎ、権利を明確にする
戸籍等の取得が困難前もって複数の市区町村へ問い合わせなど手続きの遅延を回避する
義務の履行と権利確保相続登記完了を第一目標に後の紛争や売却・担保手続きを可能にする

まとめ

不動産の相続登記義務化により、2024年4月から相続時の登記が求められるようになりました。過去の相続も対象となり、怠ると過料が科される場合があります。新制度の導入や各種手続きの簡素化も図られており、期限内での対応が必要です。所有者不明土地を防ぐためにも、早めの戸籍収集や登記準備が欠かせません。正しい登記は、相続に関するトラブル回避の第一歩です。安心して今後の対策をはじめていきましょう。

お問い合わせはこちら

”不動産相続”おすすめ記事

  • ボロボロの実家のみ相続放棄できる?限定承認との違いも解説の画像

    ボロボロの実家のみ相続放棄できる?限定承認との違いも解説

    不動産相続

  • 今後の法改正でアパートや貸家の建築は相続税対策になる?注意点や進め方をまとめて紹介の画像

    今後の法改正でアパートや貸家の建築は相続税対策になる?注意点や進め方をまとめて紹介

    不動産相続

  • 相続した古い家はどうする?悩みやすいポイントをまとめて解説の画像

    相続した古い家はどうする?悩みやすいポイントをまとめて解説

    不動産相続

  • 未登記建物は相続するまでそのままで良い?判断基準や対応方法を解説の画像

    未登記建物は相続するまでそのままで良い?判断基準や対応方法を解説

    不動産相続

  • 相続不動産の売却はいつがよいタイミング?迷う方へ準備の進め方をご紹介の画像

    相続不動産の売却はいつがよいタイミング?迷う方へ準備の進め方をご紹介

    不動産相続

  • 相続した戸建ての売却査定は何から始める?流れや具体的な準備も紹介の画像

    相続した戸建ての売却査定は何から始める?流れや具体的な準備も紹介

    不動産相続

もっと見る