ペット飼育可能物件はなぜ少ないのか?理由や探し方のポイントも紹介
最近はペットと暮らしたいと考える方が増えていますが、「ペット飼育可能な賃貸物件がなかなか見つからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。部屋探しで犬や猫と一緒に快適に住める物件を探すと、条件に合うものは非常に限られています。この記事では、ペット飼育可能物件がなぜこれほど少ないのか、その背景や現状について詳しく解説します。理想の住まいを見つけるヒントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ペット飼育可能物件の供給状況
現在の日本における賃貸物件のうち、「ペット可」とされる物件の割合は、全体の2割に満たない状況です。たとえば、LIFULL HOME’Sの調査によれば、2025年3月時点での「ペット可」物件掲載割合は19.3%にとどまっており、依然として供給の少なさが浮き彫りになっています。これに対し、賃貸居住者のうち実際にペットを飼育している割合は28.6%に達しており、供給と需要のギャップが明確です。
また、東京都の調査では、犬や猫と暮らしている賃貸居住者のうち、実に25.4%が「ペット不可」の物件で飼育しているという実態も明らかになっています。このことから、希望する物件が見つからず、契約条件を無視して一部強行的に飼育している方々も少なくないことがわかります。
このような背景には、ペットを家族と捉える意識が広がる一方で、ペット可物件の供給が追いついていないことがあります。不動産業界でも、単に「ペット可」とするだけでなく、ペットと住人が快適に共生できる設備や仕様を整えた「ペット共生型賃貸」が注目され始めていますが、こうした物件はまだ限られています。
以下に、現在の状況を整理した表をご覧ください。
| 項目 | 割合・状況 | 内容 |
|---|---|---|
| ペット可物件割合 | 約19.3% | 賃貸サイトにおける掲載割合(2025年3月時点) |
| ペット飼育者の割合 | 約28.6% | 実際に賃貸でペットを飼っている人の割合 |
| ペット不可で飼育している人 | 約25.4% | ペット不可物件で賃貸居住中に飼育している実態 |
オーナー・管理会社が物件をペット不可にする主な理由
賃貸物件でペットを飼育できないとされる理由には、オーナーや管理会社が抱える現実的な懸念がいくつかあります。以下に主な理由を整理してご紹介いたします。
| 主な理由 | 具体的な懸念内容 | 背景や実例 |
|---|---|---|
| 退去時の原状回復や匂い・汚れへの懸念 | ペットによる床・壁の傷、排泄物やにおいの残留などが、原状回復費用の負担につながる可能性 | 例えば、クッションフロアの張替え費用は㎡あたり3,000〜6,000円程度で、6畳で2〜3万円、フローリングではさらに高額になる場合もあります。 |
| 近隣トラブルや騒音のリスク | 犬の無駄鳴きや猫の鳴声、臭い、抜け毛などが原因で近隣住民とのトラブルが発生する恐れ | 集合住宅では鳴き声による騒音トラブル、排泄物や臭いによる迷惑、抜け毛の散乱などがよく報告されており、管理規約でも注意が促されています。 |
| 種類・頭数制限、保証金・追加費用などの条件設定の難しさ | どの動物を何頭まで許可するか、保証金やペット専用費用をどのくらいに設定するかなど、契約内容を明確に整備する必要がある | 例えば「室内飼育が容易な小型犬を推奨」といった条件付けでも、具体的かつ公平な運用が難しい場合があります。 |
退去時の原状回復に関しては、床材の傷やにおいなどが問題となることが多く、ペット対応のクッションフロアでも㎡当たり3,000〜6,000円、6畳なら2〜3万円程度かかることがあります。フローリングではさらに高額になる場合もあり、修繕費用の見通しが不透明なため、オーナー側が避ける要因となります。
また、集合住宅においては騒音や臭気、抜け毛などをめぐる近隣トラブルも多く報告されています。犬の無駄鳴きや猫の発情期の鳴声、共用部への排泄や抜け毛の散乱などは、マンションの管理規約でも注意事項とされるほどです。こうしたトラブルへの対応負担を懸念し、ペット不可とするケースが少なくありません。
さらに、ペット飼育を許可する際には、どの種類の動物を何頭まで許可するか、保証金や追加費用をどのように設定するかという契約内容の設計が不可欠です。公平かつ実効的なルール設定には、法的観点や実務的観点の両方で慎重な検討が求められます。
ペット飼育希望者が直面する物件探しの課題
ペットを飼いたいと希望している方が賃貸物件を探す際、さまざまな困難に直面しています。まず、ペット飼育可能な物件そのものが限られており、理想とする条件をすべて満たす物件を見つけるのが非常に難しい状況です。株式会社NEXERの調査によると、実に54%の方が「ペット可の良い物件が見つからず苦労した」と回答しています。
また、LIFULL HOME’Sによる調査では、「ペット可」物件の掲載割合は、2022年3月時点で12.9%、2025年3月には19.3%に増加したものの、全体に占める割合はなお2割未満にとどまっており、供給不足であることが浮き彫りとなっています。
さらに、希望エリア、間取り、家賃など他の条件とのトレードオフを余儀なくされるケースが多い点も大きな課題です。「広さが足りなかった」「家賃の安い物件で犬不可だった」「希望エリアになかなか物件がない」といった具体的な声が、調査でも多く挙げられています。
物件探しにかかる期間も長くなりがちで、LIFULL HOME’Sのデータによると、ペットと暮らす方の住まい探しでは、2ヶ月未満で契約に至った割合が71.3%と一般層(82.1%)に比べて10.8ポイント低く、より長期化しやすい傾向があります。
下の表は、ペット飼育希望者が直面する主な課題を整理したものです:
| 課題 | 具体内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 物件数の少なさ | ペット可物件自体が全体の2割未満 | 選択肢が限られ、希望との一致が困難 |
| 条件のトレードオフ | 広さや家賃、立地など他条件の妥協が必要 | 理想の住まいとのギャップを埋めにくい |
| 探す期間の長期化 | 2ヶ月以上かかるケースが増加 | 引越し計画や生活準備が延びる |
これらの課題を乗り越えるには、こまめな情報収集や、条件優先順位の整理、地域に強い弊社のような専門の不動産会社への相談が有効です。理想に近い住まいを効率よく見つけるために、柔軟な姿勢と戦略的なアプローチが求められます。
釈然としない条件の裏にある構造的要因
ペット飼育可能物件の敷居が高く感じられる背景には、いくつかの制度的な障壁や市場・運用の構造的要因があります。
まず、保証金やペット料金、犬種・頭数制限といった制度的障壁が存在します。多くの物件では、退去時の原状回復費用や消臭・損傷補修を補うために、追加の敷金やペット専用保証金を設定する場合があります。また、犬や猫の種類や頭数を制限することでリスク軽減を図る運用もよく見られます。こうした制度的な仕組みが、希望する飼育形態と提供内容との間にギャップを生み、選択肢を狭めているといえます。
次に、集合住宅特有の管理・運用上の負担があります。壁や床への傷、におい、騒音などは管理者やオーナーにとって大きな負担となり得ます。近隣トラブルや共用部の損傷を防ぐために、ペット共生型では設備や管理規約が強化される一方で、その設計と維持にはコストや手間がかかり、物件オーナー側の導入ハードルが高くなります。
さらに、需要に応じた供給が追いつきにくい市場構造の問題もあります。賃貸市場全体に占める”ペット相談可”の物件は2割未満とされ、実際に「ペット可」と表示された物件数も地域によっては10〜15%程度に留まります。こうした供給不足が、希望する物件が見つかりにくい状況を助長しています。
| 構造的要因 | 具体的内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 制度的障壁 | 追加保証金・頭数制限など | 希望者が応募しづらい |
| 管理上の負担 | 損傷・騒音・におい対策の必要性 | 物件導入コスト増加 |
| 供給不足 | 物件数が全体の1〜2割に留まる | 選択肢が少なく探しにくい |
このように、制度設計・管理負担・市場供給という三つの構造的要因が重なり合い、結果としてペット飼育可能物件の提供が限られている状況になっています。
まとめ
ペット飼育可能な賃貸物件は、年々需要が高まっている一方で、供給が限られているため、理想の住まいを見つけることが難しい状況が続いています。オーナーや管理会社が物件をペット不可とする主な理由には、原状回復への懸念や近隣トラブルのリスク、条件設定の難しさなどが挙げられます。その結果、ペットを飼いたい方は希望の条件をすべて満たす物件に出会いにくく、探す期間も長くなりがちです。背景には、制度や管理体制、そして市場構造の課題も深く関わっています。ペットと暮らせる住まいを探す際、これらの事情を理解したうえで、適切に対策を講じることが大切です。
